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「モディ」姓を中傷と……インド野党議員に禁錮2年判決 - BBCニュース

Rahul Gandhi, a senior leader of India"s main opposition Congress party, arrives to appear before a court in Surat in the western state of Gujarat, India, March 23, 2023

画像提供, Reuters

インド・グジャラート州の地方裁判所は23日、最大野党「国民会議派」の元総裁ラフル・ガンディー氏に、禁錮2年の有罪判決を言い渡した。ガンディー氏は2019年にインドのナレンドラ・モディ首相と同じ「モディ」姓について、「泥棒はみんなモディ姓だ」と発言したことが、名誉毀損(きそん)にあたるとして起訴されていた。

ガンディー氏は上訴する方針。保釈金を支払い、30日間の保釈が認められた。

国民会議派は、ガンディー氏が政府の「陰湿な行動」を暴露したため、政府に攻撃されているのだと反発している。インドでは来年、総選挙が開かれる予定。

国民会議派のアビシェク・マヌ・シンヴィ広報担当は記者会見で、ガンディー氏への判決は「法的に維持できない判断」だらけだと批判し、自党の政治家の口をこれで封じることはできないと反発した。

「間違いのないように」とシンヴィ氏は政府に向かって述べた。「国民への影響について、恐れを知らない開かれた発言を、震え上がらせ、首根っこを押さえて締め上げようと、あなた方が何をしようと、ラフル・ガンディーも国民会議派も決して立ち止まらない」。

モディ首相率いる与党・インド人民党(BJP)は、適切な司法手続きによる判決だと反応している。

事件は、BJPが圧勝した2019年の前回総選挙の選挙戦でのこと。ガンディー氏は2019年4月に南西部カルナタカ州での集会で、「どうして泥棒はみんな、姓が『モディ』なんだ。ニラヴ・モディにラリット・モディ、そしてナレンドラ・モディだ」と発言した。

ニラヴ・モディ容疑者は巨額の銀行詐欺事件に関与したとされ、国外逃亡中の宝石商。ラリット・モディ容疑者は汚職疑惑で国外逃亡中の、元インド・クリケット・プレミアリーグ理事。

ガンディー氏は、自分の発言は汚職全般に言及したもので、特定の集団を攻撃したのではないと主張している。

Supporters of India"s ruling Bharatiya Janata Party (BJP) wearing masks of Prime Minister Narendra Modi attend an election campaign rally addressed by Modi at Moran town in the northeastern state of Assam, India, March 30, 2019.

画像提供, Reuters

インドでは、政府に批判的とされる他の野党政治家や組織も、さまざまな容疑で訴追されている。デリーの首都圏議会で与党の庶民党(AAP)は、幹部2人が現在服役中。有罪判決は政治的なものだとAAPは反発しており、今回の判決でもガンディー氏を支持している。

「国民会議派と立場の違いはあるが、このような名誉毀損裁判でラフル・ガンディを有罪にするのは正しくない」、「疑問を口にするのが国民と野党の役目だ」と、AAPのアルヴィンド・ケジリワル党首はツイートした。

ガンディー氏の発言については、BJPのパーネッシュ・モディ議員が、モディというコミュニティー全員の名誉を傷つけたとして訴えていた。

しかし、判決について法律の専門家からの疑問も出ている。憲法学専門の研究者で作家のゴータム・バティア弁護士はツイッターで、ひとつの姓のように「包括的な人の集団への言及」を名誉毀損扱いするのは、「自分への直接的な言及を個人が示せない限り」難しいはずだと書いた。

「誰かが『弁護士は全員、泥棒だ』と言ったとしても、私は弁護士だが、私個人に向けられた発言だと示さない限り、名誉毀損で提訴することはできない」とバティア弁護士は書いた。

ガンディー氏の顧問弁護士キリト・パンワラ氏はBBCグジャラティに対して、弁護の基本方針を説明した。

「第一に、ガンディー氏はグジャラート州の住人ではないため、提訴の前に調査が必要だ。第二に、『モディ』という名のコミュニティーはない。第三に、『モディ』を姓とする人たちの共同体はない。最後に、ガンディー氏の発言に悪意はなかった」

名誉毀損法めぐる議論

インドの名誉毀損法は、イギリスによる植民地支配の時代から続くもので、違反すれば2年以下の禁錮刑もしくは罰金、あるいはその両方が言い渡されることがある。

表現の自由を掲げる活動家からは、この法律は自由の原則に抵触し、政治家への批判を抑圧するために利用されていると、しばしば批判されている。

2016年にはガンディー氏を含む複数の政界実力者が、名誉毀損を犯罪として扱うのをやめるよう訴えを起こした。しかしインド最高裁は、名誉毀損法の有効性を維持し、「表現の自由があるからといって、市民がお互いを中傷して良いということにはならない」と判断を示した。

今回の有罪判決を受けて、ガンディー氏の議員としての地位がどうなるのかも議論になっている。

インドでは、たとえ名誉毀損罪で有罪になっても自動的に議員資格を失うわけではない。その一方、選挙関連の詐欺罪や対立扇動などの罪で有罪になれば、議員資格を失うこともある。また、禁錮2年以上の実刑判決を受けた場合も、議員除名があり得る。

禁錮2年の判決が確定すれば、ガンディー氏は来年の総選挙に出馬できないことになる。

「(国民会議派は)おそらく最高裁まで争い、最高裁は判決の執行を猶予するだろう」と、匿名を条件にした政治評論家は分析した。

「ただし今回の判決で、すべての政党幹部にこうした危険が常に影を落としているということになるのか。複数の政党幹部が、犯罪扱いされるさまざまなことを理由に訴えられている。しかし通常は、何も起きない」

ガンディー氏は、これまで3人のインド首相を輩出したネルー=ガンディー家の一員。曾祖父のジャワハルラル・ネルー氏は独立インドの初代首相で最も長く職にとどまった。祖母のインディラ・ガンディー氏はインド初の女性首相、父ラジーヴ・ガンディー氏はインド最年少の首相だった。

国民会議派は、1947年の独立から2014年までほぼ一貫して政権与党だったが、2014年にモディ氏率いるBJPに敗北。それ以来、かつての影響力を失い、2019年に再びBJPに敗れた。

インドで最大野党の党首が投獄されたのは、過去に1度しかない。1978年12月には、すでに首相を退いていたインディラ・ガンディー氏が、特権乱用と議会侮辱の罪に問われて下院から追放され、9日間にわたり刑務所に収監された。

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