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ICJ、ハマス攻撃にも異例の言及 東京大・中島啓准教授(国際法) - 産経ニュース

中島啓・東京大准教授(本人提供)

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡り、国際司法裁判所(オランダ・ハーグ、ICJ)は26日、集団殺害(ジェノサイド)を防ぐためにあらゆる措置をとるようイスラエルに命じる「暫定措置」(仮処分)を出した。しかしガザでの軍事行動停止には踏み込まなかった。中島啓・東京大准教授(国際法)は、ICJがイスラム原理主義組織ハマスによる攻撃に異例の言及をした点に注目する。

ICJは2022年、ロシアにウクライナ軍事作戦の停止を命じたが、イスラエルには作戦停止を命じなかった。一方的に軍事侵攻したロシアとは異なり、イスラエルは自衛や人質解放を作戦の根拠としており、暫定措置には限界がある。ICJは今回、イスラエルにジェノサイド防止を命じると同時に、傍論ながらイスラム原理主義組織ハマスの攻撃に言及し、人質解放を呼びかけた。付託された案件以外の事項に、ここまで具体的に踏み込むのは珍しい。

ICJ命令に強制力はなく、イスラエルが従わない可能性はある。それでもICJの判断は国際的な注目を集め、イスラエルの支援国に影響を与える効果がある。親パレスチナ派は、武器輸出国に圧力をかける根拠とするかもしれない。

今回のケースは、戦闘とは無関係の南アフリカが提訴した。ICJは過去にはガンビアの提訴により、ミャンマーにジェノサイド防止措置を命じたことがある。多国間条約を守るため、加盟国が義務違反国の責任を追及する訴訟のあり方はほぼ確立した。国際裁判への提訴で高い注目を集める狙いがあり、類似の訴訟は今後も増えるだろう。

(聞き手 三井美奈)

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