岸田文雄首相は24日夜、正規軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の戦闘が続くアフリカ北東部スーダンの在留邦人とその家族計45人が自衛隊機で退避したと明らかにした。政府は同日、邦人退避に向けて、周辺国のジブチに待機させていた航空自衛隊をスーダンに向けて出発させていた。
首相は24日夜、公邸で記者団の取材に応じ「自衛隊派遣のC2輸送機により、在留邦人とその配偶者合計45人が先ほど、スーダン東部のポートスーダンを飛び立ち、ジブチに今向かっている」と説明した。「さらに別途、フランスや国際赤十字の協力を受け、計4人の邦人が既にスーダンから、ジブチやエチオピアに退避した」とも述べた。 首相によると、今回の邦人輸送で、スーダンに在留する邦人は数人だという。政府は今後も早期退避に全力をあげる考えだ。
スーダンに向けて出発した空自機は、21日から22日にかけて日本を飛び立ったC130輸送機とC2輸送機、KC767空中給油・輸送機各1機で、ジブチ国内の自衛隊拠点で待機していた。また、政府はスーダンには約60人の邦人が滞在していると明らかにしていたものの、安全確保の観点から退避計画の内容を明らかにしていなかった。
関係者によると、国連職員らを乗せた退避車列が北東部ポートスーダンに向け首都ハルツームを出発しており、一部の日本人も加わっていたとみられる。
松野博一官房長官は、空自機の出発に先立つ24日の記者会見で、輸送活動を開始することを発表し、「関係各国とも緊密に連携し、在留邦人の安全確保に万全を期す」と述べた。また、政府は同日、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開き、スーダン情勢に関し協議した。
自衛隊機の派遣は、スーダン情勢の悪化を受け、林芳正外相が19日に浜田靖一防衛相に要請した。防衛省は空自と陸上自衛隊からなる計約370人の統合任務部隊を編成している。
海外での有事などの際の自衛隊による邦人退避はこれまでに5回行われている。直近は2021(令和3)年8月のアフガニスタン情勢悪化に伴う退避で、C130輸送機が同国のカブール空港から邦人を含む15人を輸送した。
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