中国共産党第20回党大会閉幕を受けて開かれた党の重要会議で、中国の最高指導部は習近平総書記の側近一色となり独裁色が一層鮮明になった。中国経済の今後に対する悲観的見方が強まり、中国でビジネスする台湾企業と事業家(台商)の東南アジア移転に勢いがつく可能性がある。ただ、巨大市場と充実した供給網を理由に、中国を捨てられないとの声が圧倒的で、結局、台商のリスク分散の主流は「チャイナプラスワン」の強化に落ち着きそうだ。
(AP/アフロ)
上海の豪邸が40%値下がり
中国共産党第20回党大会の閉幕翌日の23日に行われた、党の重要会議「一中総会」(第20期中央委員会第回1総会)は、習近平氏を3期目の総書記に選出。最高指導部である政治局の常務委員と委員は習氏のシンパ「習家軍」が圧倒的多数を占めた。
「習家軍」による権力の全面掌握は、世界的に投資家の懸念を呼んで、香港株が一時暴落。台商も動揺している。米中貿易紛争、過酷な「ゼロコロナ」に加えて、「習家軍」独裁の確立がダメ押しとなり、撤退を決めた台商もいるようだ。
台湾の経済メディア「財訊」の謝金河社長は10月28日、フェイスブックで「中国の富豪は資産を投げ売りし、上海の高級住宅は40%も値下がりした。台商も資産売却を急いでいる」と指摘。「銃声を聞いてから隠れ場所を探しても間に合わない」と述べて、投資家に早めの行動を呼びかけた。
台湾メディアの民視新聞網によると、市民団体「台湾中国投資被害者協会」の高為邦理事長は「台商も外国企業も、習近平氏への信頼を完全に失った。損を覚悟でみんなが逃げ出したいと思っている」と述べた。アナリストの謝晨彦氏は「習氏は『ゼロコロナ』を続ける決意で、当然、中国の国内消費全体が下振れし経済成長も低迷する。不動産市場も縮小が続く」と警告している。
中国出身で台湾在住の経済評論家、汪浩氏はフェイスブックで「習近平氏の共産党内の統制力は毛沢東を上回った。習氏のやり方はスターリンに似ている。今後は粛清を拡大し、『共同富裕』を名目に闘争を仕掛けるだろう」と指摘。「中国でわいろを使わず、脱税しない実業家はいない。まだ逃げない台商は、やがてひどい目に会うのを待つことになる」と語り、早期の撤収を呼びかけた。
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