旧ソ連による対独戦勝記念日である５月９日にモスクワの「赤の広場」で行う軍事パレードに、外国の首脳が一人も出席しない見通しとなった。露大統領報道官が４月末、ロシア通信などに明らかにした。参加者や登場する兵器も減らす予定で、ウクライナ侵攻の影響が、プーチン大統領が特に重視する行事にも及んでいる。
報道官は、戦勝記念日は「我々ロシア人にとっての祝日だ」と述べ、「外国首脳を招待しなかった」と説明した。戦勝７５年の節目だった２０２０年には米欧や日本の首脳も招待していた。
露国防省が４月２９日に発表したパレードの概要によると、今年の参加者は昨年より１０００人程度少ない約１万１０００人。披露する戦車や対空ミサイルなどの装備は約１３０と、昨年より約６０減る見通しだ。
パレードには、核戦争などの非常時に大統領らが指揮を執ることから「終末の日の飛行機」と呼ばれる空中指揮機「ＩＬ（イリューシン）８０」が登場する。核戦争の脅威を警告し、米欧によるウクライナへの軍事支援をけん制する狙いがあるとみられる。
恒例の飛行ショーでは、ウクライナに侵攻している露軍の象徴となっている「Ｚ」の文字を、戦闘機８機で描き、国民に侵攻への支持を呼びかける。
プーチン氏は、ウクライナの親米欧政権をナチス・ドイツになぞらえ、ウクライナの「非ナチ化」を侵攻目的に掲げており、旧ソ連がナチス・ドイツに勝利した記念日を特別視している。
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