今回のお悩み 「一人でいる時間は好きなのですが、ふとした瞬間に孤独感に襲われることがあります」 一人でいるのは、楽だ。すべて自分がやりたいようにできるし、誰かに気を遣う必要もない。だが急に、自分が独りぼっちになった気分になる──。 家族や恋人や友達が近くにいないから寂しくなると思いがちだが、問題の根底にあるのは「他者との繋がりの捉え方」だという。岸見一郎先生が、哲学的視点で「孤独」を感じる理由を紐解きます。 三木清は、孤独そのものと「孤独な条件」とを区別して、次のようにいっています。 「孤独が恐ろしいのは、孤独そのもののためでなく、むしろ孤独の条件によってである。恰(あたか)も、死が恐ろしいのは、死そのもののためではなく、むしろ死の条件によってであるのと同じである」(『人生論ノート』) 誰も死を避けることはできません。ですが、自分が死ぬときは誰かにそばにいてほしい、孤独死は怖いと思う人は、死そのものを恐れているのではなく、「一人で死ぬ」という死の条件を恐れているのです。 しかし、たとえ家族に看取られて最期のときを迎えるという幸運に恵まれたとしても、人は皆一人で死ななければなりません。 かつて救急車で病院に搬送されたとき、私は一人ではありませんでした。けれど、その場に誰かが居合わせていたとしても、死ぬのは自分だけなのだ、一人で死ぬというのはなんと寂しいことなのか、と思ったことをよく覚えています。 死は絶対の孤独です。この孤独に条件をつけることはできません。死ぬときに一人であろうと、誰かに看取られようと、一人で死んでいくしかないのです。
人に囲まれているほうが孤独?
孤独を感じるのは、死の際だけではありません。 死と同様に、「孤独が恐ろしいのは、孤独そのもののためではなく、むしろ孤独の条件によってである」と三木がいうときの「孤独の条件」とは、一人でいるということです。三木は次のようにいっています。 「孤独というのは独居のことではない。独居は孤独の一つの条件にすぎず、しかもその外的な条件である」 一人でいるから、独居しているからといって、誰もが必ずいつでも孤独を感じるわけではありません。一人でいることは、誰にとっても孤独を恐れる条件ではないのです。それどころか、三木はむしろ大勢の人間の「間」にこそ孤独はあるといっています。 「孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の『間』にあるのである」 「孤独は山になく街にある」というときの「山」というのは、一人でいる状態、「街」というのは人と人との間で生きている状態のことを指しています。 一人でいるのではないのに、大勢の人間のなかで孤独を感じることなどないと思う人もいるかもしれません。でも、思いのほか共感できる人も多いのではないでしょうか。 三木は、なぜ孤独は大勢の人の間にあるのか、はっきりとしたことは書いていませんが、次のことを考えなければなりません。 まず、もしも人がこの世界にただ一人で生きているのであれば、孤独を感じることもないということです。他者が存在し、その他者と結びついていることが人の基本的なあり方なので、人との結びつきから外れると孤独を感じるのです。 次に、「他者と結びついていることが人の基本的なあり方だ」と書きましたが、どのように人と結びついているかが、孤独を感じるか、感じないかに関係してくるということです。 常に皆の注目の中心にいる人がいます。 学校に行かなかったり、引きこもっていたりしていると、親をはじめとするまわりの大人から早く「学校に行け」とか「働け」というようなことをいわれます。そんなことをうるさくいわれるのは嬉しくはないでしょうが、そうされている限り、家庭という共同体の中心にいることができます。 ところが、外に出るとどうなるか。 学校や会社に行っても、誰もそれをほめたりしません。それは当然のことだからです。病気の人は心配してもらえますが、回復すると注目されなくなるのと同じです。 街のなかに出ていくと、自分のことを知っている人は誰もいないので、自分がたくさんの人のなかの一人でしかないことを知ることになります。外では家にいるときとは違って、格別の注目を得ることはできないので、孤独を感じます。 このような人は、一人で部屋にいるときも孤独でしょうが、大勢のなかにいるときのほうがより孤独なので、一人でいることを選びます。三木が「ひとは孤独を逃れるために独居しさえするのである」というのはこういう意味なのです。
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June 12, 2020 at 03:00PM
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岸見一郎「一人の時間は好き。なのに寂しい」と感じる本当の原因は?(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース
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