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美大は「自分らしさ」見つける場所、先生も学生も仲間 東京藝大学部長に聞く|高校生新聞オンライン|高校生活と進路選択を応援するお役立ちメディア - 高校生新聞

「絵を描くのが好き」「物作りが好き」という人は、一度は美大進学を夢見たことがあるのではないだろうか。美術学部や芸術学部ではどんなことを学ぶのか。日本を代表するアーティストで、東京藝術大学美術学部の日比野克彦教授に聞いた。(野口涼)

一人では学べない

――ほかの学問との違いはどこにあると思いますか?

例えば、公式がある数学は一人で勉強できますよね。

美術は一人で勉強するのが難しいんです。自分一人で絵を描いていても、一人だと「それが良いかどうか」がわからないものです。

実際、僕も高校生の時、自分では良い絵が描けたと思っていても、美術予備校の夏期講習に行くとびっくり。「良い絵を描く人は、こんなにいっぱいいるんだ」と感じました。

人と比べてみて、やっと「自分らしさ」がわかります。

人と同じものを作っても意味がない…とまでは言いませんが、自分らしさがないとアートはつまらないものです。

漆芸(漆工)の制作風景(東京藝術大学提供)

「自分らしさ」を見つけに

――美大で学ぶ意味をどう考えますか?

美大とは、いろんな作家と出会えて、同じ志を持った人たちとともに学べる場です。先生も作家だし、学生も作家です。

東京藝術大学には約100人の教授・准教授がいます。大学生が20歳、教員が60歳だとすると40歳しか違わないんですよ。美術史としてとらえると、40年間は同世代です。教員も学生も同じアート業界の同世代の仲間です。

同じ志を持った人たちが大勢いる場に行かないと、自分が何者かわかりません。色で例えると、「これは赤だ」と一人で思っていても、より赤い色が横に並ぶと、「今までの赤は茶色だった。これこそ赤だ」と思うかもしれません。

でも、さらに赤い色が並ぶと「これこそ赤だと思っていた色も、けっこう茶色だったんだね…」と感じるかもしれません。作家としての個性も同じです。

美術を目指す人が大勢いるところでこそ、自分らしさが見つかります。切磋琢磨して、時代のアートシーンを築いていくことができるのだと思います。 

自分だけの個性を見つけられるのが美大という場所

ひびの・かつひこ

1958年岐阜市生まれ。82年日本グラフィック展大賞受賞。84年東京藝術大学大学院修了。地域性を生かしたアート活動を展開。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。

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March 12, 2020 at 01:14PM
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