ガザの死者2万5000人超に、イスラエルとハマスの戦闘開始後 - BBC.com

2024年1月22日 12:18

マーク・ローウェン、BBCニュース、エルサレム

イスラム組織ハマスが運営するパレスチナ自治区ガザ地区の保健省は21日、イスラエル軍の攻撃によるガザ地区の死者数が2万5000人を突破したと発表した。

ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、過去24時間で178人が死亡。ハマスとイスラエルの戦闘開始以来、死者数が最も多い日の一つとなった。

ハマスは21日、イスラエル奇襲に関する公的説明を初めて発表。その中で、奇襲はイスラエルによるパレスチナ領土の占領に対する「必要な措置」で、パレスチナ人の囚人釈放を実現するための手段だったとした。

アメリカのホワイトハウスは、イスラエルとパレスチナ国家が共存する「2国家解決」について、アメリカとイスラエルは「明らかに異なる見方をしている」としている。

イスラエルの空爆と地上作戦は現在、ガザ地区南部に集中している。イスラエル国防軍（IDF）は南部ハンユニス市内あるいはその地下に、ハマス司令官が潜伏しているはずだと主張する。

＜関連記事＞

IDFはハンユニスについて、長さ約830メートルのトンネルが見つかったと発表している。トンネルには偽装爆弾や防爆扉が設置されていたという。

IDFの動画には、マットレスと独房のあるトンネルのようなものが映っていた。ここに子供を含む約20人の人質が拘束されていたとイスラエルはみている。ただ、トンネル発見時には、人質はまったく見つからなかった。

昨年10月7日、ハマスはイスラエル南部を攻撃し、民間人を中心に約1300人を殺害、240人以上を人質にとった。これを受け、イスラエルは報復攻撃を開始した。

戦況は

イスラエル兵は、ガザ地区北部で新たな攻撃に直面している。イスラエルが部隊と戦車を南部に移動させる中、ハマスが北部の町ジャバリア周辺で隙をついたと言われている。

イスラエルの軍事力はハマスをはるかに上回る。しかし、この紛争が始まってから3カ月以上が経過した今も、イスラエルはガザ全域で大きな抵抗に直面している。

アメリカの情報機関は、IDFがハマス戦闘員の20～30％を殺害したと推定している。これは、ネタニヤフ首相が掲げているハマスを「完全に壊滅させる」という目標には程遠い。

機密扱いの報告書によると、ハマスには、イスラエル領土とIDFを数カ月にわたって攻撃し続けるのに十分な弾薬を保持していることが判明したという。イスラエルが長期戦に引きずり込まれるおそれが浮上している。

イスラエル国民の反応

戦況の進捗（しんちょく）の遅さや、ハマスの最高司令官がいまだに拘束あるいは殺害されていないこと、そしてイスラエル人の人質約130人が行方不明のままだという国民的トラウマが、イスラエル国内で政府への怒りを増大させている。

ハマスに拘束されたままのイスラエル人家族は、抗議行動を続けている。家族は、ネタニヤフ首相はハマス壊滅という不可能と思われる目的よりも、人質の解放を優先すべきだと訴えている。比較的小規模な反戦運動も続いている。反戦を訴える人々は、近年の歴史で最も激しく破壊的な軍事作戦の一つがガザ地区にもたらした損害に恐怖を感じている。

イスラエル国民の多くは、国民としては団結しているものの、ネタニヤフ首相を中心に団結しているわけではない。最近の世論調査によると、ハマスとの戦闘終了後もネタニヤフ氏が首相に留任するべきだと考える国民は、15％にすぎない。