台湾の最大野党・国民党に所属する馬英九前総統が、27日から中国への訪問を開始しました。台湾の総統経験者の訪中は初めてで、中国側は歓迎していますが、与党・民進党は「国際社会に誤ったメッセージを発するものだ」と批判しています。
馬前総統は、27日から来月7日まで、国民党が中国大陸を治めていた時期に首都としていた南京や、自身の先祖の出身地の湖南省などを訪問します。
馬前総統には台湾の青年らも同行し、中国の学生らと交流するということです。
出発を前に、馬前総統は「若者の熱意ある交流によって、台湾海峡両岸の雰囲気が改善し、より早く平和が訪れることを願っている」と述べました。
馬前総統は27日夕方、上海の空港に到着し、高速鉄道に乗り換えて、夜は南京に宿泊します。
台湾の総統経験者の訪中は初めてで、馬前総統が「中国大陸と台湾はともに1つの中国に属する」という立場でもあるため、中国側は歓迎していて、高官との会談の可能性もあります。
これに対し、「1つの中国」を受け入れない民進党は、中米のホンジュラスが中国と国交を結んで台湾と断交したことも念頭に、「今のタイミングで中国を訪問するのは、融和主義そのものであり、国際社会に誤ったメッセージを発するものだ」と批判しています。
空港では、中国との統一を主張する団体が、馬前総統の訪中を支持する横断幕を掲げたほか、台湾独立を主張する団体が前総統の訪中に反対の声をあげて一時、騒然となりました。
一方、蔡英文総統は今月29日からアメリカを経由地とする中米2か国の訪問を開始する予定で、アメリカではマッカーシー下院議長と会談することになっています。
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