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ロシア軍、ヘルソンから撤退か 偽装工作に警戒も(写真=ロイター) - 日本経済新聞

ロシアによるウクライナ軍事侵攻で、南部ヘルソン州のドニエプル川西岸からロシア軍が撤退するとの観測が出ている。現地の親ロシア派行政幹部が3日、撤退を示唆し、ロシア軍が検問所などを放棄したとの目撃情報も伝わった。西岸からの撤退はロシアに打撃となるが、ウクライナ側は偽装工作を疑っている。

ドニエプル川西岸からの軍撤退については3日、ヘルソン州の親ロ派行政幹部、キリル・ストレモウソフ氏がロシアのメディアに「われわれの部隊や兵士はおそらく左岸(東)へ去ることになるだろう」と語った。同日、SNS(交流サイト)などでは州都ヘルソンの行政府の建物からロシア国旗がすでに降ろされた写真も掲載された。

ヘルソン近郊にあるオレシュキ市のリシチュク市長も3日、SNSのテレグラムで、ヘルソンの住民の目撃情報として、ロシア軍が3つの検問所を放棄し、市内の兵士の数も目立って減っていると伝えた。10月中旬には西岸のロシア占領地域から住民の避難が始まり、親ロ派行政組織も東岸への移転を終えた。

ドニエプル川西岸のロシア軍がウクライナ軍の攻撃で武器や物資の補給が難しくなっているのは確かだが、早期の撤退には懐疑的な見方も出ている。ウクライナ軍南部司令部のフメニュク報道官は3日、「挑発行為の表れの可能性がある」と偽装工作を疑い、市街戦を準備している恐れがあると語った。

ヘルソンはロシア軍が2月の侵攻開始以来、占領した唯一の州都だ。ロシアが狙うオデッサなど南部の要衝を占領し、隣国モルドバの親ロ派占領地域とロシア本土を結ぶ回廊をつくるための拠点でもある。ヘルソンにはクリミア半島など占領地域に水を供給するダムもあり、軍事的にも政治的にもロシアにとって重要だ。

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