国連の安全保障理事会でウクライナをめぐる決議案がロシアの拒否権によって否決され、安保理の機能不全が指摘される中、常任理事国が拒否権を行使した際にはその理由を国連総会で説明するよう求める決議が、国連総会の総意として採択されました。
国連安保理ではことし2月、ロシアに対してウクライナからの軍の即時撤退などを求める決議案がロシア自身の拒否権によって否決され、軍事侵攻を阻止できなかったことから、安保理が機能不全に陥っていると批判されてきました。
こうした中、安保理で常任理事国が拒否権を行使した際には、10日以内に国連総会を開き、常任理事国に拒否権を行使した理由の説明を求めるという決議案が、国連総会に提出されました。
決議案はヨーロッパのリヒテンシュタインが取りまとめ、常任理事国のアメリカ、イギリス、フランスのほか、日本など80か国以上が共同提案国に加わりました。
26日、国連総会でこの決議案についての協議が行われ、投票を求める国がなかったことから、総会の総意として決議は採択され、議場からは大きな拍手が上がりました。
一方で、決議では総会で説明を行うかどうかは常任理事国の判断に委ねられ、どこまで常任理事国による拒否権の行使に歯止めをかけることにつながるのか、不透明です。
決議の採択のあとロシアの代表は「常任理事国に圧力をかける試みで、断固拒否する」と非難したほか、中国の代表も「混乱を招きかねず、目的を達成できるかわからない」と否定的な姿勢を示しています。
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