
【書評】『神さまとぼく 山下俊彦伝』/梅沢正邦・著/東洋経済新報社/1800円+税 【評者】岩瀬達哉(ノンフィクション作家)
松下幸之助が一代で築き上げた松下電器(現パナソニック)の、三代目社長に抜擢された山下俊彦は異色の経営者であった。22人抜きで「工業学校卒のヒラ取」が、「日本最大の家電メーカー」の社長に抜擢されたというだけではない。自らを見出した「『松下家』と対決」し、「新しい松下電器」を創ったことにある、と著者は再評価する。 山下の経営方針は、「マネシタ電器」からの脱却であった。他社が新製品を発表すると模倣し、より廉価な製品を市場に出す。そのような経営から、「困難なことに挑戦する勇気と行動力」を養う企業体質への変革である。それを「冷徹」な人事で断行した。 山下の人選の基準は「失敗したヤツがいい。失敗して、そこから這い上がって来たヤツがいい」というもの。反面、極めて優秀と折紙つきの部下であっても、「あいつを変えろ」と命じた。「オレに迎合するなら、お前はいらん」―─。こうして「一人で悩み一人で判断し一人で解決する」社員を育成し続けたのである。 「10年後の将来にわたって松下電器の歴史にふさわしい業績を上げ得る」ためであった。その期待に応えられなかった者は「もう、ええわ」「能力のないヤツに頼んだ方が悪かった」とにべもなく突き放した。「すべてが背水の陣」で臨んでいただけに、部下たちにも背水の陣を強いたのだ。
学歴への引け目を読書量で補い、「その時々の読書で感銘を受けた言葉」を書き留めてきた大学ノートには、「生活をenjoyしながら、しかも、自分を豊富にしながら事業を豊富にしていくのが、ほんとうの合理主義」と書かれてあったという。 相談役に退いてからも、松下家が経営権を握ろうとしたとき、「今の松下電器はおかしくなっている」と公然と批判し、山下流の経営哲学を貫いた。世襲は防いだものの、しかし山下亡きあとの松下電器は迷走を続けることになる。その遠因もまた、山下にあった。読ませどころ満載である。 ※週刊ポスト2020年8月28日号
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August 22, 2020 at 03:00PM
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