東京都豊島区のマンションの一室で五月上旬、六十代の姉妹が遺体で見つかった。病気の妹(61)を一人で介護していた姉(64)が先に死亡し、助けを呼ぶことができないまま妹も亡くなったとみられる。二人は世間との関わりを断つように暮らし、遺体発見まで二、三カ月経過していた。専門家は「社会的に孤立すれば、六十五歳以上の『高齢者』に達しない中高年世代も孤独死する可能性はある」と話す。 (奥村圭吾)
「最近、住民の姿が見えず連絡が取れない。確認してほしい」。八日昼ごろ、区内のオートロック付き分譲マンションの管理人の男性から、警視庁目白署に連絡があった。
署員が施錠された玄関ドアを開け室内に入ると、姉が服を着た状態で浴室の洗い場に倒れ、妹はダイニングの床に横たわっていた。遺体は腐敗し、解剖でも死因は判明しなかった。
区によると、妹は脳神経系の難病を患い、自立歩行がままならない状態だった。三年前の五月に身体障害者手帳二級を取得したが、介護保険やホームヘルパーなどの制度は利用せず、姉が一人で介護をしていた。
区の勧めを受け、妹は今年二月末に、新調した車いすを業者から受け取っていた。区の担当者は「とても残念でショックを受けている。もう少し強く提案し、ヘルパーなどの支援に結び付けていたら結果は違ったのか…」と声を落とした。
管理人の男性が妹を最後に見たのは今年一月。一人で車いすに乗り、三階からエレベーターで降りようとしていた。何度も扉が閉じて乗れない様子だったため介助を申し出たが、「一人で銀行に行きます。結構です」と出掛けていったという。
男性は「他人に迷惑をかけない心遣いからか、二人だけの世界で生活しているようだった。オートロック付きのマンションで管理組合以外に住民の自治会はなく、地域から孤立しやすい環境だったと思う」と話した。
◆マンション暮らし オートロックの「壁」
姉妹のように夫婦やきょうだいが一対一で世話をする「シングル介護」の形態は、特に孤立死のリスクが高いという。淑徳大総合福祉学部の結城康博教授は、姉妹がオートロック付きマンションで暮らしていた点にも触れ、「社会的な孤立を招きやすい典型的なケースだ」と指摘する。
結城教授によると、シングル介護の世帯の孤独死は相次いでいる。
二〇一七年五月、東京都渋谷区の民家では、八十代の夫婦が遺体で見つかった。寝たきりだった妻を介護していた夫が先に死亡し、後に妻が死亡したとみられる。一四年十二月十五日、名古屋市中川区のマンション一室で八十代の夫婦の遺体が見つかったケースでは、寝たきりの妻を一人で介護していた夫が先に病死し、介護を受けられなくなった妻もその後に息を引き取った可能性があるという。
シングル介護の世帯には、家族の問題やプライバシーに踏み込まれたくないという意識から、必要な介護サービスを受けない選択をする人もいるという。
自治体も地域の見守り事業の対象を、独り暮らしの高齢者や後期高齢者だけの二人世帯に設定しているところが多く、「二人暮らしは大丈夫だろう」と支援に消極的になってしまうケースもあるという。
結城教授は「新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、外出を減らす暮らし方が広がり、より一層地域の目が届きにくくなっている」と指摘。その上で「介護人材不足の対策を進めるとともに、支援される側も柔軟に受け入れる心構えを持つことが大切だ」と話す。
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