グルメの街・福岡。安くておいしいグルメが揃っており、どれを食べようか迷ってしまいますよね。
その中でも人気なのが「もつ鍋」です。
福岡へ行ったら「もつ鍋を食べたい！」という方も多いと思いますが、鍋料理のお店って一人だとなかなか行けませんよね。しかし、僕は最近ある噂が気になっています。
一人客専用席がある「もつ鍋専門店」が密かに流行っている……？
現在、一人もつ鍋が可能なお店の7～8割は観光客で、地元民はほとんどいないのだとか。福岡出張の多いビジネスマンやCAさんなんかがおひとり様の常連なのだそうです。
でも、もつ鍋ってみんなで食べるからこそなのではという気もします。実際、どうなのでしょうか。
そこで、今回は福岡のもつ鍋業界で密かなブームになっている、カウンターで楽しめる一人もつ鍋店に行ってきました。
天神駅徒歩3分、王道しょうゆ味「もつ鍋 笑楽」
九州最大の繁華街とも言われる天神には観光だけでなく、ビジネスでもたくさんの方々が訪れます。
1軒目は天神の中心と言ってもよい、ソラリアステージビルの地下2階にある「もつ鍋 笑楽 天神ソラリア店」です。
笑楽は1985年創業の有名店で、福岡に4店舗あります。僕が小学生の頃、はじめて専門店のもつ鍋を食べたお店です。
笑楽のもつ鍋を食べて「世の中にこんなに美味いものがあったのか！ 大人はずるい」と驚いたことを思い出します。
店内はテーブル席が40席あります。
落ち着いた雰囲気でゆっくりともつ鍋を楽しむことができますが、その脇にご注目。
ありました。
一人用のカウンター席です（全部で5席）。
それぞれの席には仕切りがあり、周囲の目を気にすることなく、鍋の味だけに集中できます。
ちなみに仕切りは取り外してもらうことも可能。
便利なことに、2人で横並びの状態でも楽しめます。
弾力のある「もつ」は食べ応え十分
この日はお昼にお邪魔したので、ランチメニューの「笑楽御膳」を注文。
▲笑楽御膳 2,000円（税抜）
もつ鍋だけでなく、馬刺しや酢もつ、明太子などの料理まで楽しめて2,000円（税抜）と破格です。シメのちゃんぽんもセットになっています。
九州の料理が1人前でいろいろ食べられるのはありがたいですね。
お鍋が到着したら、IHヒーターで加熱。
グツグツするまでの間はこちらの料理をゆっくり楽しみましょう！
▲熊本産馬刺し
まさか馬刺しが食べられるなんて。身はプリップリ、旨味がマイルドでおいしかったです。もつ鍋と一緒に食べるとさっぱりしていて、よく合います。
▲酢もつ
もつ鍋屋さんの酢もつは、弾力が違いますね。
酢もつに絡めてある柚子胡椒の辛さは控えめ。柚子の香りがフルーティでさわやか、これもおいしい！
ほかの料理を食べている間に、店員さんが何度か具材に火が通るようにかき混ぜに来てくれます。少しずつ火が通ってきました。
「はい、もうできあがっていますよ」
というわけで……
もつ鍋、完成！
今日はこの鍋、全部僕のものです。
シメの麺まで全部ひとり占め
スープはしょうゆ味、みそ味、しお味から選べますが、こちら笑楽のおすすめはしょうゆ味。
鶏ガラベースの「秘伝のだし」を軸に、味わい深い濃い口醤油と、博多の伝統的な薄口醤油を、昆布、かつお等の旨味成分と調合しているのだそうです。
キレのあるスープにもつのマイルドで甘い脂が混ざると、もうね、とにかく美味いんですよ！！！
極上のしょうゆ味のスープをまとったモツは、甘くてやわらかい。
最上級レベルを自負する九州産和牛もつを使用しており、下処理でみがきをかけているので臭みはまったくありません。
このもつが鍋の中にはたっぷり。
これも、ぜ～～～んぶ僕のもの！
幸せ過ぎる！！
具材を食べた後はちゃんぽんでシメましょう。
極上のスープにもつと野菜のエキスがプラスされた最高のスープを、ちゃんぽんで堪能してください！
飲み会だとタラタラ1時間かけて食べるもつ鍋も、一人なら30分程度で完食。千円札2枚に消費税でこの満足感は素晴らしい。これなら出張ついでに行くのも余裕です。
徒歩3分ほどで到着する福岡市地下鉄天神駅から福岡空港までは地下鉄で約10分。飛行機に乗る前にサクッと食べて帰るのもよいでしょう。
夜もコースメニューを一人前から注文できるのだとか。
もちろん、もつ鍋単品一人前でも楽しめるので、ぜひ気軽に行ってみてください。
お店情報
もつ鍋 笑楽 天神ソラリア店
住所：福岡県福岡市中央区天神2-11-3 ソラリアステージビルB2F
電話：050-5281-5189
営業時間：月～日曜日、祝日、祝前日: 11:00～23:00 （料理L.O. 22:30 ドリンクL.O. 22:30） ※ランチタイムは16:00まで
定休日：1月1日、その他はビルの定休日に準ずる
「博多もつ鍋 おおやま カウンター KITTE博多」 は一人鍋推奨店
さて、次は博多駅のそばにある「KITTE博多」にやってきました。
KITTE博多の地下1階は、通路とお店の間に敷居のない、入りやすい雰囲気のお店が並んでいます。
その一角にあるのが「博多もつ鍋 おおやま カウンター KITTE博多」です。
実はこのKITTE博多の9階にも「博多もつ鍋 おおやま」は存在しますが、そちらはグループ客用の個室なども完備した店舗。
しかし、こちらの地下1階のお店はまた違ったコンセプトです。
そう、カウンター席が中心の一人もつ鍋推奨店なのです！
それにしても「一人鍋」と書かれた提灯なんて初めて見ました。一人鍋への並々ならぬこだわりを感じます。
こうまで宣言されてしまうと、逆に2人以上だと入りにくく感じるかもしれませんが、2人以上でも問題なく入店できるとのこと。
席はカウンター15席に、テーブル8席となっています。おおやまの店舗の中では、もっとも小さなお店です。
基本のみそ味スープ「キャベツ」が絶妙マッチ
▲もつ鍋（みそ味） 1,390円（税抜）
テーブルにはIHヒーターが埋め込まれており、一人ひとりの仕切りはありません。
ラーメンやうどんを食べるような感覚で、気軽にもつ鍋を楽しめます。
3分ほど経つと鍋はグツグツ煮え始めます。スープが煮立ち泡立ってきたら食べごろです。
煮立ったら、IHヒーターを保温に設定。
もつ鍋はみそ味、しょうゆ味に加え水炊き風が選べますが、お客さんの8割が注文するというみそ味をいただきます。
九州味噌や西京味噌など数種類の味噌に、特製タレの旨味を加えています。甘くて優しいマイルドなスープですが、パンチもあります。
もつ鍋は具材たっぷりで食べ応え十分。
キャベツがたっぷり入っているのですが、やわらかいけどシャキシャキしていて、とってもみずみずしい。
みそ味のスープと、この新鮮なキャベツがよく合う！
いくらでもいけます。
「もつ鍋の主役はキャベツだ」という人がいますが、これは僕も賛成です。もつ鍋でもっとも食べている時間が長いのはキャベツ。ラーメンにたとえるなら、麺＝キャベツといったところでしょうか。
もつ鍋でもつがおいしいのは、ある意味当たり前。キャベツがおいしいかどうかで判断すれば、長く愛せるお店が見つかるはずです。
シメのちゃんぽんはスープをたっぷり吸わせて……
もちろん、もつの存在も忘れてはいけません。
もつは九州産を中心に、国産のものだけを使用。
弾力が強くて、噛むとジュワッと甘い脂が弾け出し、絶品スープと混ざり合います。
ギトギトしていないので、味わいは濃厚なのにサッパリしているのが特徴です。
シメは恒例のちゃんぽん！（290円・税抜）
スープが煮立ち、麺がふっくらとふくらんだら食べごろです。
ちゃんぽんを食べるときは、スープをたっぷりすくって、麺をひたひたにしてよく絡ませながらすするのがおすすめです。
複数人で食べるもつ鍋の場合、シメのちゃんぽんがスープを吸ってしまい、周囲に遠慮してスープを取り過ぎるのは避けていたのではないでしょうか。
今日は一人鍋なので、スープをたっぷり取り過ぎちゃいましょう。
スープは頼めば無料で追加してくれるので、残量を気にする必要はありません。
KITTE博多は博多駅に隣接しているので、新幹線を待っている間でも、サッと立ち寄って手軽にもつ鍋を堪能できます。
ちなみにKITTE博多の地下1階には、ほかにも餃子やラーメンなどの福岡を代表する有名店が軒を連ねています。
気軽なはしご酒にもおすすめなので、ぜひ福岡へ行った際には足を運んでみてください。博多駅から徒歩約5分という近さも魅力です。
お店情報
住所：福岡県福岡市博多区博多駅中央街9-1 KITTE博多B1F
電話番号：050-5287-2748
営業時間：11:00～翌0:00 （L.O. 23:30）
定休日：なし
博多駅近くの「博多もつ処 浜や」
次のお店も博多駅の近くです。
1階にスタバがある福岡朝日ビルの地下へと下りていきましょう。
福岡朝日ビルの地下1階は「サンプラザ商店街」。
うどんの名店「大地のうどん」や超老舗のコーヒー店「珈琲舎のだ」など、福岡を代表する飲食店が立ち並んでいます。
そんな中にあるのが「博多もつ処 浜や 博多駅前朝日ビル店」です。
こちらのお店でも一人もつ鍋が楽しめるようになっています。
おすすめは濃厚旨辛みそ
さっそくお店ののれんをくぐると……
ここにもありました、一人鍋用のカウンタースペースが。
カウンターには取り外し可能な仕切りがあり、他人の目を気にせずにもつ鍋（1,580円・税抜）を楽しめます。
浜やのカウンターではカセットコンロを使用してもつ鍋をいただきます。重要なのは火加減です。
ちょうどよい火加減の箇所にテープが貼ってあるので、そこに合わせましょう。
ついつい強火で炊いてしまう人もいるそうですが、煮えたぎらせると味が変わってしまうそうです。
このまま6分半ほど待つと完成です。
スープには白みそ味、醤油味などの定番スープがありますが、イチオシは「濃厚旨辛みそ」。白みそ味に甘口唐辛子や特製辛ダレをブレンドしたもので、ほかのもつ鍋とは少し違う個性的なスープです。
お店ではもつ鍋ができあがったら、まずはスープを一口飲んでみることをおすすめしています。
柚子胡椒好きにはたまらない豆腐
それではいただいてみましょう。
スープを一口すすってみると、味噌の甘みの後に唐辛子の香りがスーッと鼻を抜けていきます。ピリ辛ですが、旨味がありやみつきになる味です。
肝心のもつは、熊本のハーブを食べて育った牛の小腸のみを使用しています。
丁寧な下処理がなされており、ほおばるともつの甘みがジュワジュワと口いっぱいに広がります。これがスープの辛味とまたよく合う。
濃厚旨辛みそのもつ鍋のおいしさは、スープの辛味と甘いもつのハーモニーが肝。いくらでもいける！
ニラもキャベツもみずみずしくてシャキシャキです。なんと野菜の産地として有名な糸島産（福岡市の隣りにある糸島市産）を朝採り限定で仕入れているのだそうで、納得。
ちなみにスープに使用している水も糸島の天然水なのだそうです。
特徴的な具材はこちらのお豆腐。
なんとお豆腐の中に柚子胡椒が！
口の中で不意に柚子の香りがしてきたので、驚きました。
辛味はそこまで強くなく、柚子のさわやかさがアクセントになっている気がします。
柚子胡椒が好きな方は、最初に豆腐を割ってスープの中に柚子胡椒を溶く方も多いそうです。
おにぎりinスープでフィニッシュ
夢中で食べていたら、さすがにお腹いっぱいになってきました。
もつ鍋を食べ終わった後、シメにはちゃんぽんもありますが、こちらの名物は「カリカリおむすび」。
▲カリカリおむすび 350円（税抜）
おむすびを素揚げしたものです。
このおむすびの上から、スープをかけていきます。一人鍋ですので、遠慮なくたっぷりかけちゃいましょう。
完成！
もつ鍋のシメとは思えない、お上品な仕上がりです。これを崩しながら食べていきます。
外はカリカリですが、中にはフワフワのおもちも入っていて、食感の違いも楽しめます。もつ鍋の新しい世界を見た気がします。これ、ビックリするほど美味い。
おむすびを口に入れては、スープをズズッとすする。これがやみつきになる。そのせいで、お椀にどんどんスープを足す僕……。
またお鍋をスッカラカンにしてしまいました。じわじわ辛さが効いてきて、後頭部にはうっすらと汗をかいています。
冬にハフハフしながら食べると体の芯から温まりそうですが、夏に汗をかきながらいただくのもよさそうなもつ鍋だなと思いました。
こちらの一品、特製辛ダレなどの辛味効果で結構パンチのあるもつ鍋では？ と思われるかもしれません。食べてみると、もつにクセがなくベースのスープもマイルドで、とっても上品な味わいだったのが印象的でした。
博多駅から近いので、ビジネスや出張のついでに立ち寄れます。
いつもとちょっと違うもつ鍋が食べたくなったら、ぜひこちらの濃厚旨辛みそのもつ鍋にチャレンジしてみてください。
お店情報
住所：福岡県福岡市博多区博多駅前２-1-1 朝日ビルB2F
電話番号：050-5828-8604
営業時間：月～土、祝前日 17:00～翌0:00 （料理L.O. 23:00 ドリンクL.O. 23:30）
日、祝日17:00～23:00 （料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:30）
定休日：なし
本当のおいしさと向き合える「一人もつ鍋」の魅力とは
今回3軒伺って、はじめてわかったことがたくさんありました。
もつ鍋好きな人でも専門店まで行き、一人でもつ鍋を食べたことのある人は少ないのではないでしょうか。
「一人もつ鍋」は、一人で福岡に来た方々の救済策では決してありませんでした。「一人もつ鍋」だからこそ味わえる魅力があるのです。
魅力①空きっ腹で思う存分楽しめる
福岡でもつ鍋を食べるときはたいてい、みんなで飲んでいるときですよね。
コース料理が一通り出て、いろいろ飲み食いをした中盤が過ぎたあたりで「では、鍋に火をお付けしますね～」といった具合。
もうけっこう満腹で、おいしいもつ鍋を楽しみ損ねていたいケースもあったと思います。
一人もつ鍋なら「空きっ腹にいきなりもつ鍋」状態。
心おきなくお腹ペコペコの状態で、博多のおいしいもつ鍋を堪能できるのです。
魅力②味にじっくりと集中できる
もつ鍋はみんなで飲んでいるときに多く食べるせいか、会話に集中し過ぎて、いまいち味を覚えていないということがよく起こっていました。
しかし、一人もつ鍋ならシラフでOKですし、ランチで食べることだって可能。昼間に食べるもつ鍋、めちゃくちゃ美味くて驚きます。
お酒のお供ではなく、メインの食事としてもつ鍋を楽しめたのは新鮮な体験でした。
魅力③いつもよりもつの取り分が多い
一人もつ鍋を食べていると、もつの取り分の多さに驚かされます。
「僕、一人でこんなに食べてよかったんだ……」
日頃、どれだけ自分が遠慮しているのか、ここで初めて気が付くのです。
「煮えてすぐ食べるキャベツって、こんなに美味いのか……」
キャベツもニラも黄金比でシャキシャキ食べられます。バランスよくもつ鍋の具材をじっくり楽しめて幸せでした。
魅力④ベストな状態でシメの麺が食べられる
一人もつ鍋のちゃんぽん、やたらとおいしかった。
もつの旨味を野菜がさらに盛り立て、それをちゃんぽん麺が全部絡みとって、自分の手柄にしながら口の中に入ってくる。ずるいぞ、ちゃんぽん。
そんなもつ鍋の最後の楽しみも、みんなで食べると食べごろを逃してデロデロになっていたり、のびきってしまうことがありました。
一人もつ鍋ならタイミングを見計らって、フワフワもちもちのちゃんぽん麺をたっぷりのスープに絡ませて味わえるのです。
ワガママに食べるもつ鍋も美味い！
もつ鍋はみんなで囲んで食べるもの──。そんな常識のせいで、一人で福岡グルメを探すときに「鍋」という選択肢がありませんでした。
しかし、もうそんな時代は終わったのです。
一人でワガママに食べるもつ鍋がこんなにいいものだったなんて。
一度、福岡で「一人もつ鍋」を体験してみたくなってきたのでは。個人的にはぜひ地元・福岡県民にも試していただきたいと思います。
書いた人：大塚拓馬（おおつか・たくま）
福岡に住む九州を愛するライターで二児の父。グルメ、旅行、子育てに関する記事を多数執筆。便利で心を動かす記事を書きたい。取材が大好きで、情報量の多い記事を目指しています。
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January 24, 2020 at 04:30AM
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一人もつ鍋が密かなブーム？博多・天神の専門店を3軒食べ歩いてみた - メシ通
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